日々

まいにち。いや、ときどき。

「冷血」

カポーティの「冷血」読了しました。

 

カポーティの作品は10代の頃あらかた読みましたが、冷血だけは読み通せなかったのでした。

それはこの作品が異色だから。

他の彼の作品は文章が本当に瑞々しくて、繊細で、そういった意味で読みやすかったのだけれど、

言ってみれば冷血は、渋い、のです。渋く、長い。

ある程度の根気がないと読めず、若かりし私は断念しました。

 

そして年月を経て、ふとこの作品のことを思い出し、再挑戦。

 

この作品はノンフィクション。

なので、作家の個性とか、独創的な物語だとか、文体だとか、そういったものは徹底的に排除されている。

にも関わらず、膨大な量の取材に基づいた、膨大な量の文章が、

圧倒的な構成力で組み立てられていて、これこそが彼の力量と天才っぷりをまざまざと見せつけてきます。

本当に、舌を巻くとはこのことなのであります。

 

二人の男が、何の怨恨もないある一家四人を惨殺。

二人の逃避行。

事件の起きた村を襲った衝撃。

犯人を追う警察の鬼気迫る捜索。

そして逮捕後、二人が死刑に処されるまでが緻密に描かれます。

 

カポーティは取材をするにつれて犯人と心の交流ができ、

彼らを支援したい気持ちと、でも死刑が執行されないとこの作品自体が完成しない、という葛藤に苛まれたそう。

日本でも同じだけど、死刑が決まってから、実際に刑が処されるまでには何年もかかるから。

 

とにかく凄まじい作品でした。

この作品は、絶対忘れないと思う。

こうやって、凄まじいものに出会えることは、

生きている醍醐味だと思わせてくれる、

芸術ってすごいよなぁ